日本郵船など、国際間水素サプライチェーン実証事業に本格着手
千代田化工建設株式会社、三菱商事株式会社、三井物産株式会社、日本郵船株式会社の4社は、次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(英語名:Advanced Hydrogen Energy Chain Association for Technology Development、略称:AHEAD)を設立し、世界に先駆けて水素の国際間サプライチェーンの実証事業に本格着手する。
本実証事業は、2015年に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素社会構築技術開発事業/大規模水素エネルギー利用技術開発」の補助事業を受けた「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証」として実施するもの。
■実証事業概要
1.概要 千代田化工建設が開発したSPERA水素®技術を用い、ブルネイ・ダルサラーム国に水素化プラント、川崎市臨海部に脱水素プラントを2019年までに建設。2020年にブルネイで調達した水素を、常温・常圧下で液体の形で日本へ海上輸送し川崎市臨海部で気体の水素に戻して需要家に供給する国際間の水素サプライチェーン実証
2.実証規模 1年間で最大210トン(燃料電池自動車フル充填 約4万台分)の水素を供給予定
3.水素供給源 Brunei LNG社の天然ガス液化プラントのプロセスにて発生するガスの供給を受け、水蒸気改質により水素を製造
4.水素供給先 川崎市臨海部にある昭和シェル石油株式会社グループの東亜石油株式会社京浜製油所域内にて、同社傘下の火力発電設備の燃料用途等に供給
5.実証期間(予定) (プラント建設)2017年8月~2019年12月(実証運転)2020年1月~2020年12月
■本実証の意義
本実証は、経済産業省の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」(2014年6月公表、2016年3月改訂版公表)のフェーズ2の実現に向け行うもので、2020年以降の商用化への布石とすると共に、2030年頃の発電事業用水素発電の本格導入の際に必要となる海外からの水素の大量輸送・供給技術の確立に取り組むもの。2015年12月にCOP21で採択されたパリ協定に基づき、今後温暖化ガスの排出削減が更に必要となる中、燃焼時にCO2を排出しない水素の大規模発電分野での活用の実現に貢献する。